自民党

参議院議員 全国比例区羽生田たかし

WEB通信

羽生田たかしWEB通信 8号

2019年6月17日

■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■
    羽生田たかしWEB通信8号
■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■

 前回の7号では難病のひとつであります「小児脳幹部グリオーマ」対する思いを書かせていただきました。大変な数のご意見を賜り誠に有難うございます。尚一層の取り組みをしっかりと検討してまいります。
本題に入る前に一言。先日の中医協の総会で注目のキムリアを公定価格で収載することが決まりました。
キムリアは既存の治療法が効かない一部の白血病患者に対して、臨床試験段階で高い治療効果が認められ、一回の投与が3000万円を超える高額薬として注目されていた新しいタイプの薬です。患者さん自身のT細胞を改変し、個別に製造を行う生きた医療用製品で、単回の投与で治療が可能とされ推定投与患者数は年間200人程度と言われています。
 あまりにも高額なため、薬価算定時における透明性の課題を始め、多くのご意見があるのは事実ですが、私は近年の医療技術や生命科学の目覚ましい進歩によってもたらさる恩恵を、財政への配慮によって国民が享受できない事態は決して許すべきではないと考えております。

 さて、今回は私の日頃の取り組みの中で、省庁を横断する調整力と突破力が問われる課題についてお話させていただきます。問題解決の為に各方面への多元的な活動が必要な案件は多数ありますが、今回ご紹介したいのが「神経管閉鎖障害(脳や脊髄の生まれつきの障害)」についてです。

 これは日本先天異常学会やビタミン学会が主に取り組まれている活動で、日本医師会雑誌(本年1月号)にも医療職の葉酸認知率と題して、私にこの使命を頂きました近藤厚生先生(他5名共著)の論文も掲載されております。
 この神経管閉鎖障害(脊髄や脳の障害)は、妊娠を計画する女性や妊娠が考えられる女性は妊娠前4週から妊娠12週まで葉酸を1日0,4mg内服することによってお子さんへの発生リスクを50〜60%低減するとされています。
しかしながら、若い女性の間では葉酸のことを知っている割合が20〜25%と大変低く、これを是正するには、学校教育や健康教育において女性が女性の体の仕組みを情報提供すべきであります。
何故ならこの神経管閉鎖障害は妊娠6週頃(受精後4週頃)に発症すると言われており、医療機関に於いて妊娠を確認したときには既にこの期間を過ぎている可能性が高いところも教育が必要な要因のひとつであります。

 厚生労働省も2000年に妊娠を計画する女性に対し栄養バランスの取れた食事(葉酸量0.4mg/日)に加えて栄養補助食品からの0,4mg/日の葉酸摂取による、神経管閉鎖障害の発症リスク低減の通知をしています。しかしながらこの通知の後も神経管閉鎖障害の発症率は減少しませんでした。

 今回、この活動を長く続けてこられた近藤先生と共に5月16日に厚生労働省及び文科省・スポーツ庁に要望へ参りました。
 厚労省へは再通知及び広報周知の徹底、文科省・スポーツ庁へは学校教育、健康教育の現場において情報提供の機会を得ることを要望いたしました。
 障害がサプリメントという栄養補助においてリスク低減が実証されているものは大変少なく、やはりこれは子供を守る意味において大切な事であり、かつ摂取の時期が重要であることを踏まえ、あるべき取り組みがされる事を期待しております。

 情報提供を頂きました、近藤厚生先生と長きに亘り取り組みをされております日本先天異常学会、ビタミン学会の皆様に敬意と感謝を申し上げます。

参議院財政金融委員会 理事
自民党厚生労働部会 部会長代理
医師の働き方プロジェクトチーム 座長
参議院議員
羽生田 たかし

********************

◆◇================◇◆
 すべての人にやさしい医療・介護を
◆◇================◇◆

羽生田たかしWEB通信 7号

2019年6月5日

■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■
    羽生田たかしWEB通信7号
■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■

 
 5月23日は「難病の日」でした。2014年のこの日に「難病法」が成立したことを契機に、患者さんやその家族の思いを広く国民に知ってもらう機会として、登録されたものです。来年はこの法律の見直しの年にあたります。法制化によって新たに浮かび上がった課題もあり、今後は現場の声をしっかりと聞きながら、「治療を続けながら社会で活躍する」という基本政策に沿った改正に全力で取り組む所存です。
 
 さて今回は私が活動に関わっている難病問題の一つであります「小児脳幹部グリオーマ」についてお話させていただきます。この疾患は脳幹部内部に発生する小児腫瘍で、3歳~7歳くらいの幼児に多く、小児脳腫瘍の10%程と言われております。まだ治療方法はおろか病気の解明もままならず、内斜視やふらつき等が兆候です。専門医も大変少なく病名が分かるまでに大変な時間と苦労そして情報不足が一番の問題であります。
 この疾患は1年内の死亡確率が50%程度といわれ、治療後の生存期間も1年弱ほどで、5年生存率は2%程です。専門医にようやくたどり着いても、診断がつく頃には同時に余命宣告を受けるほど、大変進行が早く症状が刻々と変化する小児慢性特定疾患であります。
 また、生検術を受ける事が難しい場所に腫瘍ができ、それが故、なかなか病気の解明も進まないのが現実でありますし、保護者においては気持ちの上でお子さんの病気を受け入れられず、病の進行速度に対応が追い付けないケースも多くあります。
 小児脳幹部グリオーマの会(glioma-net.com)の方々にご縁を賜り、要望を頂き、とにかくこの疾患のことを広く知ってもらう事から始めるという活動にかかわりました。
 当時の塩崎恭久厚生労働大臣には、大切なお子さんを亡くされた皆様と要望に伺いました。余りにも早い進行性の為、障害認定が追い付かないことや、進行度合いにより介助に必要な機器も間に合わない、何より小さな子供ですので、親が常にそばにいてあげなければならず、普段の生活に必要なことを優先するため、申請に行くのもままならない等々、大変悲しい記憶にも関わらず、自分達が苦労した思いを後人にさせたくない、という一心でお話をしていただきました。家族の皆様が何をさておき、この病気を知ってもらうことからはじめるという思いに目頭が熱くなりました。本当は治療法や研究を確立して欲しいのが一番のはずですが、とても現状がそこまでも至ってない状況がもどかしく、また及ばぬ力に自分自身の非力を悔やみました。
 その後、2回のシンポジウムを開催され、私も参加をさせて頂いております。本年も3回目のシンポジウムが予定されていると伺っております。色々な苦しい実体験を、ありのまま伝えて頂きました「小児脳幹部グリオーマの会」の皆様に改めて、私も一緒に今後も活動に取り組んで参ることをお誓いし感謝と、ご苦労、ご努力に対しまして、敬意を表します。
 
 この病気以外にも難病、難治の疾患は多くあり、特定疾患の指定を受けられていないものも数多くあります。それぞれの疾患にはそれぞれの苦労と諸課題があります。急性のもの、慢性のもの、治療法がないもの、治療方法があっても完治ではなく生涯にわたって抱えてゆくもの、そして何よりも今なお原因が判明されていない疾患等々、多くの状況があるのが事実です。
 ひとつひとつの疾患に、本当の意味での光があたり治療法や研究が進むこと、そしてイノベーションの進歩により、画期的な新薬や治療法が確立されるその日まで、私も医療業界を代表する国会議員の一人として、しっかりと取り組んで参りたいと考えております。

参議院財政金融委員会 理事
自民党厚生労働部会 部会長代理
医師の働き方プロジェクトチーム 座長
参議院議員 
羽生田 たかし

********************

◆◇================◇◆
 すべての人にやさしい医療・介護を
◆◇================◇◆

羽生田たかしWEB通信 6号

2019年5月31日

■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■
    羽生田たかしWEB通信6号
■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■

**********************
選挙運動用電子メール受信許諾についてのお願い
**********************

 平素より「羽生田たかしWEB通信」をお読みいただいている皆さまには、参議院議員羽生田たかしの政治活動にご理解を賜り心より御礼申し上げます。

 さて、6年前よりインターネットによる選挙運動が解禁されているところですが、選挙期間中に羽生田たかしより皆さまに配信するメールにつきましては、公職選挙法の規定により皆様の同意が必要となっております。

 尚、日頃より「羽生田たかしWEB通信」」を継続してお読みいただいている皆様からは、受信不要の場合のみご連絡を頂くこととなっております。引き続き羽生田たかしからのWEB通信の送付にご同意いただける場合には、ご返信は必要ございません。

 今夏に予定される参議院議員選挙を間近に控え、このようなメールを差し上げ、ご面倒をおかけいたしますが何卒よろしくお願い申し上げます。

━【お願い】━━━━━━━━━━━━━━

◆選挙運動用電子メールの受信のご同意いただける方
   →ご連絡は不要です。

◆選挙運動用電子メール不要の方
   →mail@takashi-hanyuda.com
    宛てに送信不要の旨のメールをご送信ください。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

参議院財政金融委員会 理事
自民党厚生労働部会 部会長代理
医師の働き方プロジェクトチーム 座長
参議院議員 
羽生田 たかし

********************

◆◇================◇◆
 すべての人にやさしい医療・介護を
◆◇================◇◆

羽生田たかしWEB通信 5号

2019年5月24日

■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■
    羽生田たかしWEB通信5号
■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■

 前回のWEB通信4号ではワクチンに関する思いを書かせていただきましたところ、多くのご意見を賜り誠に有難うございます。
 特にHPVワクチンについては沢山のご意見を頂き、重要性を再認識いたしました。日本の女性がこれ以上、子宮頸がんで苦しむことが無いよう、国内で年間約2,700人もの女性の命が奪われている子宮頸がんの現状と、わずか0.3%にとどまる接種率をどのように見直していくのか、多くの課題を抱えながらも前を向いて取り組むべきと考えますので、今後とも多くのご意見を賜ればと存じます。
 そして今回は、前号でも言及しました、「現在のワクチン行政及び制度を根本より見直したい。」につきまして、もう少し詳しく説明させていただきます。
 日本の予防接種は1948年、感染症から社会を守る観点により「予防接種法」が制定され、当時は12疾病のワクチンが義務接種となりました。これにより感染症による死者は大きく減少しましたが、一方で1960年代半ば頃からワクチンによる健康被害等が社会問題としてクローズアップされ、特に1989年に開始されたMMRワクチンに対しては訴訟が相次ぎ、わずか4年余りで中止に至りました。
 このような背景の中、国民の不安ばかりが増大し、各方面からもワクチンの負の部分が強調され、ついに1994年予防接種法改正により「義務」が「努力義務」となり、接種形態も「集団接種」から「個別接種」へと変遷いたしました。その結果、予防接種が萎縮し大量の未接種者、いわゆるワクチンギャップという世代を生むこととなりました。
 時代背景や社会情勢はあるものの、日本のワクチン行政は萎縮状態の中、定期接種と任意接種といった制度が併存し、それにより自己負担の有無や健康被害が起きた場合の救済も違いがあるといった複雑な構造を抱えることとなったのです。
 私の個人的な見解ではありますが、そもそも予防接種は国策として国民の健康を守り、伝染及び蔓延の感染を予防する目的でありますから、国が先頭に立ってワクチンの政策、確保、製造に至るまでを国防として推進し国民を脅威から守るべきです。特に供給不足といった事態が起こらない生産体制と在庫の確保、もっと強く言えば、国の定期的な買い取りによる万全な供給体制の構築こそが、国民の安心と安全を守る施策であると考えます。
 一方で今回私が敢えて問題提起をしたいのが、任意接種の料金についてであります。任意接種による副反応を患者側の自己責任であるかのようにした上、価格の一律化につきましては当然と言わんばかりに公正取引委員会が介入するのは甚だ疑問があります。患者からすると大変分かりにくく、なぜ子供のインフルエンザの予防接種代が医療機関によって差があるのか、分からないまま受診されている方も多いかと思いますが、これはインフルエンザ予防接種が任意とされているからであります。更に言えば、この価格を医療機関が一律にした場合、なんと独占禁止法の処罰対象となってしまう恐れがあるのです。
 私はやはり薬価は公的に一律で、すべての国民が同じ恩恵を受けるべきだと考えます。予防接種の価格を申し合わせたら独占禁止法に触れるとの考えは「行き過ぎの自由」であると感じております。
 その他、ワクチンに関する課題について私の問題意識をいくつか列挙します。
 第一に、ワクチンには製剤そのものを取り巻く開発、承認、製造、供給及びや品質管理といった極めて安全性を必要とする問題がそれぞれの工程で存在します。特に季節性のワクチンはその年の株の決定から培養、製造、出荷までを迅速に対応する必要が迫られるもので、どこか一ヶ所でも不具合が生じれば供給時期が大きくずれ、国民の健康管理に甚大な影響を与えることとなります。
 次に、よく質問で耳にするのが「定期接種化されていないのに接種勧奨であるものは打つ必要があるのか?」という声です。まさにその通りであり、日本の予防接種行政のダブルスタンダードの象徴とも言える質問であります。予防接種を受けることが必要なのか、それとも本当の意味での任意であるのか、日本の予防接種はこのままでいいのか、大変危惧をしています。
 また、よくワクチンが不足する度に議論にのぼる輸入の問題、これは救済制度との関係も大変大きな問題であります。このように、一概にワクチンといってもさまざまな方面に亘る問題があります。
 飛躍的な技術革新によって、世界のグローバル化は急速に進化し続けています。訪日外国人観光客の激増、ラグビーワールドカップ、東京オリンピック・パラリンピックの開催、超高齢社会に対応するための外国人材による就労機会の拡大など、グローバリゼーションの大きな波は年ごとに日本社会に押し寄せてきています。前号でも触れましたが、グローバル化はヒト、モノや技術革新と一緒に、病原体も世界各地にばらまくことになります。
 私は以前、国会でも質問を致しましたが、技能実習制度や就労ビザの拡大等含め、観光だけでなく職場にも多くの外国人が入って来られることになります。国際間の協定でもありますが、特に職場においての大きな問題は「結核」であります。現状、出入国の際のビザ申請時に結核の検査結果を添付することを全ての国で実施しているわけではありません。法律で結核を持ち込まず持ち出さず、となっているにもかかわらず、結核すら手放しの入国審査である危険な実態を国会の場で質問をいたしましたが、未だ実施されていません。
 これら海外からやってくる感染症の脅威から国民を守るべき緊急事態の中、令和の新しい時代を迎えた日本を、感染症という侵略から国防の観点で国家戦略とし断行する使命を政治はもう一度改めて見つめ直すべきではないでしょうか。
 この国のワクチン政策を、そして感染症対策を国防としてしっかりと議論し確立して行かねばならないと考えています。

参議院財政金融委員会 理事
自民党厚生労働部会 部会長代理
医師の働き方プロジェクトチーム 座長
参議院議員 
羽生田 たかし

********************

◆◇================◇◆
 すべての人にやさしい医療・介護を
◆◇================◇◆

羽生田たかしWEB通信 4号

2019年5月10日

■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■
    羽生田たかしWEB通信4号
■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■

 平成が幕を閉じ、新元号「令和」の時代が始まりました。
 上皇が天皇陛下としての最後のお言葉は「明日から始まる新しい令和の時代が、平和で実り多くあることを、皇后と共に心から願い、ここに我が国と世界の人々の安寧と幸せを祈ります。」でありました。
私たち国民と共に歩まれてきた上皇陛下に感謝を申し上げます。令和を治められる新天皇は「自己の研鑽(けんさん)に励むとともに、常に国民を思い、寄り添いながら、憲法にのっとり、象徴としての責務を果たす」とのお言葉を述べられました。
 「令和」という時代が素晴らしい時を刻むことを心より願うと共に、私たち政治家は、平和で希望に満ち溢れた時代の国づくりに向け、一心不乱に邁進すべきと改めて痛感した一日でもありました。
 さて、前回のWEB3号では「医療費亡国論」という言葉に対して、私の思い「医療費興国論」について書かせていただきました。沢山のご意見をいただきありがとうございます。
 財政論による医療費抑制ありきの政策は、大雑把に言えば、医療を患者から遠ざけ、診察にかかり難くし、受診の回数を減少させることで医療費を削減する、という論なのかと思いますが、実際は早い段階、ごく初期の段階で積極的に治療を受けることで、早い回復や重症化予防につながり医療費は明らかに削減されることとなります。検診や検査を受ける機会をつくることは、早期の発見だけでなく、自分に対する啓発啓蒙や、気付きともいえる自分の状態を正しく知ることの大切さでもあります。
 予防接種も医療費削減の一翼を担う方法であり、現在定期化されているものはきちんと費用対効果が検証されています。まだ定期化されていないものについても、多くの要因があるため費用対効果の検証に時間を要してはいますが、着実に検証が進められております。しかし一方で、HPVワクチンなど費用対効果の検証結果があるものの、予防接種が進まず、このままでは「日本は子宮頸がん対策における後進国」と烙印を押される恐れすらあるものもあります。
 日本は予防接種において様々な歴史があり、それと共にワクチンギャップというものが生まれました。直近では風疹が大流行しましたが、過去には風疹が定期接種されなかった時代があり、抗体をほとんど持たない世代を生みました。今回はまさにその世代を中心に感染が広がり、たちまち猛威を振るう事態となってしまいました。風疹は、特に妊娠初期の女性がかかることで胎児に先天性風疹症候群という障害が現れやすくなります。その対策をとることは子供を守ることに繋がるものであります。予防接種の勧奨は本人のみならず、周りへの感染や封じ込めにも大変大きな影響があり、感染拡大防止による予防接種の費用対効果を示す一例であります。
 私は今後、現在のワクチン行政及び制度を根本から見直してゆく必要があると考えています。近年、急激なペースでグロバール化する社会においては、人や物が国際間を活発に移動し、それに伴いウィルスや細菌など病原体の移動も容易になっています。今や、感染症は国内対策でのみでは国民を守ることはできません。政府は国際的な感染の脅威に晒されていることを認識し、国防ととらえ早急に対策を講じるべきです。また、海外企業に比べ脆弱な国内のワクチン産業基盤の再構築や、予防接種するリスク、ベネフィットを検証する機関の設置など、決してデメリット論にのみ流されず、ワクチン行政は常に前を向いて歩んでいかなければならないと考えております。
予防接種以外においても、予防による効果が検証されている例も多く、口腔ケアなどは誤嚥性肺炎予防や認知症対策にもなるといったエビデンスも積み上がっていることも特筆すべき点ではないでしょうか。今や手術前の歯科治療や口腔ケア等は肺炎予防の為多く対応されております。
 また、近年の医療技術の進歩は目覚ましく、一昔前には考えられないような医薬品、機器や治療方法も登場し、大きな成果を上げております。その一方で、先端の技術にはそれなりのコストがかかり、医療費の増大に繋がるという議論がされることもありますが、治療や手術においては高いか安いかだけで評価するのは間違いです。
手術費用が高いといっても、社会復帰が早く、傷が小さく患者の肉体的、精神的な負担が小さく、また入院期間も短いなどの効果があれば、それは費用だけでは語れない治療であり、どれほど経済効果が高いものかまた、患者にとっての負担が少ないか計り知れないと考えます。特に体に大きな傷跡を残すことになる手術などは、やはり患者の心理的・精神的また肉体的負担は大きく傷とともに深く残ることも多く、可能な限り、小さな手術跡によって治療後の生活やQOLに大きな違いがでることもあります。特に女性における手術跡の大きさや見た目は大切な問題であります。これを費用によって決めるのか、費用対効果によって語るのかは一概には言えないと思っています。
このように財政論だけで医療を評価することは大変危険な事であり、医療における費用対効果は様々な要因があり、安易な金額や費用対効果論だけではないことを今後も強く発信してまいります。

参議院財政金融委員会 理事
自民党厚生労働部会 部会長代理
医師の働き方プロジェクトチーム 座長
参議院議員
羽生田 たかし

********************

◆◇================◇◆
 すべての人にやさしい医療・介護を
◆◇================◇◆

羽生田たかしWEB通信 3号

2019年4月19日

■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■
    羽生田たかしWEB通信3号
■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■

 先日は、日本の紙幣デザインを一新すると麻生財務大臣から発表がありました。
 新1万円札には日本資本主義の父と称される渋沢栄一氏、5千円札には女子教育の先駆者、津田梅子女氏が肖像画に採用され、中でも国民が日常生活で一番使用する頻度の高い千円札の肖像画には、「近代日本医学の父」北里柴三郎氏に決まりました。
 日本医師会の初代会長である北里柴三郎氏は、日本の細菌学の父としても知られ、ペスト菌の発見や、破傷風の治療法を開発するなど感染症医学の発展に多大な功績を残されたことであまりにも有名な人物です。
 現在の千円札の野口英世氏に続き2代連続で医師が紙幣の肖像となったことは、我々医療従事者にとって大変喜ばしい知らせであり、誇らしく感じると同時に医療の社会に対する責任の重大さと、国民との信頼関係の大切さを改めて痛感した次第です。
 
 さて本題、これまでは「医師の働き方改革」についての事を書かせていただきましたが、今回はかねてより私が問題視している「医療費亡国論」についてふれさせていただきます。
 現在、私は、党職として厚生労働部会長代理、医師の働き方改革プロジェクトチーム座長を務めさせて頂いており、自民党の厚労政策へ懸命に取り組んでおります。
 皆さんは日常の中で「医療費」というと、それは消費と投資のどちらであると考えますか。
 この議論のきっかけは、昭和58年3月の社会保険旬報という広報物に「医療費亡国論」という論文を、時の厚生省保険局長(後の事務次官)吉村仁氏が発表したことに始まります。
 その内容というのが「医療費が伸び続け国を滅ぼす」といったもので、この頃から医療は「消費」であり財政論によってのみ医療費を評価するような風潮が漂い始めたと感じています。
 本来社会保障というのは、国民が国家を信じて、安心・安全に暮らす為の生活基盤であるはずです。その最たる制度として、世界には類を見ない日本の国民皆保険があり、現在に至っても日本以外はなしえていないシステムであります。
 すべての国民が何らかの医療保険に加入しケガや病気の際に「いつでも、どこでも、誰でも」医療給付が受けられる、すべての国民が平等に医療を受けられる機会を得る、まさに日本人の助け合いの心と文化による相互扶助の精神に基づき創設された素晴らしいシステムであります。
 しかしながら、財政論やそれによる削減ありきのミスリードが、医療を「消費」と決めつけ、財政を圧迫する一因と捉え、少なければ少ないほど良い、といった偏った政策を押し通す短絡的且つ危険な考え方を蔓延させる要因となっているのです。
 ましてや「医療」に多くかかる人は国の財政を圧迫し、「医療」にかからない人が負担をして損をしている、だからその補完が必要といったインセンティブありきの政策誘導などもってのほかであります。「医療・介護」は安心して暮らしていく為のセーフティーネットであるべきです。
 そればかりか、現在では、研究や医療技術の進歩、革新的な新薬や新しい医療機器の開発によって、治らなかった病気が治り、入院期間は格段に短くなりました。そしてそれにより社会復帰が早くなり、通院しながらの治療という選択肢も広がってきております。
 これは、医療の進歩による大きな恩恵で有り、あえて医療を経済的な視点でとらえるのであれば、高い経済効果を生んでいることになります。
 更に、医療は多くの雇用を生みだしています。医療関係職種の広がりによって300万人を超える医療従事者が各地域において活躍し、特に地方においては雇用率も高く、人材の地元定着率にも寄与している要因となっています。
 これはまさに「医療費興国論」であります。国民が元気になることは国が元気になることと直結するのです。
 今回は「過不足のない医療・介護」がきちんと受けられる社会づくり、そして提供体制の整備は重要な国興しであるということを皆さんにお伝えしたいと思い発信させて頂きました。
 これからもしっかり社会保障政策に取り組んで、必要なものは必要であると主張し、財政再建の糸と医療による国興しの糸、そして国民の安心・安全な暮らしの糸とが「美しい調和」を織りなす社会を目指し全力を注いで参ります。

参議院財政金融委員会 理事
自民党厚生労働部会 部会長代理
医師の働き方プロジェクトチーム 座長
参議院議員 
羽生田 たかし

********************

◆◇================◇◆
  すべての人にやさしい医療・介護を
◆◇================◇◆

羽生田たかしWEB通信 2号

2019年4月6日

■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■
   羽生田たかしWEB通信 2号
■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■

 新元号「令和」。この誠におめでたいニュースを聞いたのは地元群馬での選挙応援の車中でした。
 大変美しい響きのこの元号は、確認できるかぎり初めて日本の古典から選ばれたとのことで、現存する日本の最古の歌集「万葉集」の一節から取られたものだそうです。
 安倍総理は会見で「厳しい寒さの後に、春の訪れを告げ見事に咲き誇る梅の花のように、一人一人の日本人が、明日への希望とともに、それぞれの花を大きく咲かせることができる。そうした日本でありたいとの願いを込め、令和に決定した」と語られました。
 これからの日本の医療政策もまさしくその通りで、新しい令和の時代において、人々が未来に夢と希望の持てる社会を創り上げるための制度設計に、私たち政治家はひたすら取り組むべきであります。
 それと余談ですが、たまたま元号が発表された翌日に、山形県で「令和」という名前の方にお会いしました。何か今年は良い年になりそうな気がしております。
 そのような中、先月の3月20日には自民党「医師の働き方改革プロジェクトチーム」座長として、自民党としての意見をとりまとめ、厚生労働大臣へ要望致しました。
 現在、「医師の働き方改革」と称して医師の使命や社会的役割よりも医師を「労働者」として労働時間規制による改革が進んでいる事に大変違和感を覚えており、また大変危機感を持っております。
 と言うのも政府の検討会における議論は「医師の使命感」や「医の倫理」などの議論がほぼされておらず、いかに規制をするか、いかに上限時間を決めるか、といった事にのみ議論が集中しているからであります。ましてや「医師」といっても今回の規制は「勤務医」のみに適用となり、「開業医」は管理者である為に関わらないものであります。しかし、「地域医療」を考えたときに、地域の開業医も当然重要な医療資源であり、地域医療を担っています。
「救急医療」は勿論大切でありますが、地域の医療には検診や学校保健、産業保健、地域の催しへの協力等も含め、多くの形と様々な関わりが存在します。
 とはいえ、医療安全の面から考えても「医師の健康への配慮」は大切でありますし、医師のみならず医療職種全てにおいて重要でありますが、時間だけでの規制は大変危険であります。
地域医療を懸命に支えておられる皆さま方のお声をお聞かせ頂き、現実にあった、現場に違和感を与えない改革や改正を今後も引き続き検討を続け議論できる場を作り、医療者と患者が共に協力しあえる医療提供体制作りを考えて参りたいと考えます。
 前号に引き続き、医師の働き方改革について書かせて頂きました。今後とも、5年後の施行にむけ必要な議論を続けるべく、地域医療の現場で踏ん張っておられる皆様方のご意見をお聞かせ頂ける様、お願い申し上げます。

医師の働き方改革プロジェクトチーム座長
参議院議員
羽生田たかし

********************

◆◇================◇◆
 すべての人にやさしい医療・介護を
◆◇================◇◆

羽生田たかしWEB通信 1号

2019年3月28日

■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■
   羽生田たかしWEB通信 1号
■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■

 政府の「働き方実行計画」により「医師の時間外労働の上限時間」は2年のうちに方向性を出すとされた期限がいよいよ3月末に迫りました。
 「医師の働き方」において上限時間の話が大詰めであり、この活動報告が読まれる頃には厚労省の検討会での意見をもとに上限時間が決められていることと思います。
 この上限時間は省令で決まるのですが、労働法制ということで「労働政策審議会」を経る事になっており、政府による上限時間規制となります。
 とは言え、立法府である政治として一定の方向性を見いだし、検討や議論そして経過確認をして、法改正等を検討し実情にあった法律にしていく事を含めた議論の場として、自民党「医師の働き方改革PT」があり、その座長として今回、方向性の取りまとめをいたしました。
 以下自民党「医師の働き方改革PT」のとりまとめ文章を掲載させて頂きます。

参議院議員 羽生田たかし

********************

◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆
厚生労働部会
「医師の働き方改革に関するPT」取りまとめ

平成31年3月20日
自由民主党政務調査会厚生労働部会
医師の働き方改革に関するPT

◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

 本PTは、政府による「働き方改革実行計画」を踏まえ、医師の働き方改革に関し、本年3月末までに方向性を打ち出すために昨年1月31日に設置された。各種団体等からのヒアリングを始め、厚生労働省の「医師の働き方改革に関する検討会」の検討状況の報告を受けるとともに議論を重ねて来た。
医師の働き方改革は、(1)医師の健康の確保(2)地域医療の適正な確保という二本の柱を基本に検討することを確認した。
 昨年12月18日には、当直翌日の勤務軽減や勤務間インターバルの確保、地域医療の確保するための医療機関への財政支援など医師の健康の確保と地域医療の確保を両立するための対応等を求める中間提言を取りまとめ、政府に要請を行った。
 この中間提言の各事項については、その後の厚生労働省の検討会においても議論されるとともに、来年度政府予算においても必要な経費が盛り込まれているところである。
 本来、医師の時間外労働の上限時間は、どのような上限時間が制度上設定されようとも具体的な対応を検討・実行したうえでその効果を基に時間を設定することが望ましい。
上限時間ありきで改革を進めるべきではなく、患者目線、医療安全、医療の質の確保を優先し、慎重に検討したうえで設定すべきである。
この対応には
(1)医師でなければできない業務
(2)他の職種へ移管できる業務
(3)病院のシステム及び地域の制度などの見直しが必要な業務に分類し、それぞれの項目を丁寧に検討し対応して行くことが必要である。
 また時間外労働の発生要因の一つに、国民の医療や医療保険への充分な理解、医療機関への正しいかかり方などを啓発・教育する必要性と国民の意識改革の必要性を確認した。
また働き方改革を実行していくうえでの基本は医療安全であり、医療安全を基本に推進されなければならない。医師のみならず医療機関で働くすべての職員の勤務環境の改善が重要であり、ワークライフバランスを中心とした柔軟性のある働き方を実現する。
 また種々の検討事項については、必要があれば法律改正も含めて検討する。ICTの活用は医療者の時間外勤務の改善に有用であり十分な検討をする必要がある。
 また働き方改革については、勤務医だけでなく、地域医療を支える診療所の医師など医療機関の管理者についても適切に取り組まれる必要があることに十分留意する必要がある。働き方改革を実行するためには相応の財源が必要であり、医療者の健康確保、地域医療の確保、人材の確保、タスクシフト、ICTの推進、国民の意識改革等々のための充分な財源の確保を強く要望する。
 またこれからの5年間に働き方改革を進めて行くためには丁寧な議論が必要であり、本PTで引き続き検討する。

********************

◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

   引き続き検討が必要な事項

◇◆━━━━━━━━━━━━━━━━◇◆

【医師の健康の確保】

・医療安全を基盤として、医師の健康をしっかりと確保する
・連続勤務時間の規制と勤務間インターバルの確保
・健康確保措置の確実な実行
・研鑽・研究を妨げることのないような、医師本人の希望や働く意欲を十分考慮した柔軟性のある制度の実現
・医師の健康と地域医療の両立を担保できるような上限時間の設定
・国民への医療機関へのかかり方の啓発

【地域医療の適正な確保】

(1)医師でなければ行えない業務あるいは医師が行うべき業務
・応招義務の法的解釈の明確化
・研鑽や研究の扱いの整理
・医療安全に配慮したタスクシェアの実行
・医師でなければできない業務と移管可能な業務の整理

(2)医師以外の医療職に業務移管、いわゆるタスクシフト、できる業務
・現行法律上可能な行為の確実な実行
・医療安全を前提とした業務移管の可能性の検討
・医師事務の軽減の為の対応策と検証
・業務移管される側の負担増への対応

(3)それぞれの医療機関内やその地域での制度やシステムに関わる業務
・過不足無き国民(患者)への診療(医療)提供体制の構築
・国民(患者)から見た医療の質の向上
・国民の医療機関のかかり方の啓発
・複数主治医制の検討と国民の意識改革
・副業・兼業の際の労働時間の取扱の整理
・地域医療資源の集約化の検討
・救急搬送の適正化の検討
・医師の将来需給を検討しつつ適正な医師数及び医師養成数の検討と検証
・医師養成システム及び専門医の適正な検討
・地域枠を含めた医学部定員数及び医師数の適正数・適正配置や将来推計の検討と検証
・医学の進歩・研究を阻害することのない体制の検討
・女性医師及びワークライフバランスに適した支援体制の検討

【財源の確保】

・タスクシフトとタスクシェア等を行う際の人員増加や環境整備
・体制構築の為の支援
・AIや事務軽減に資するシステム整備導入に伴う機器や設備の支援
・「医師の健康の確保」、「地域医療の適正な確保」、「女性医師支援」に資する為の財源確保

********************

◆◇================◇◆
 すべての人にやさしい医療・介護を
◆◇================◇◆

羽生田たかしWEB通信 初号

2019年3月26日

■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■
   羽生田たかしWEB通信 初号
■□━━━━━━━━━━━━━━━━□■

◆羽生田たかしWEB通信の開始にあたって

 平素は羽生田たかしの政治活動に、ご理解とご協力を賜り誠に有難うございます。さてこの度、羽生田たかしWEB通信と題し、これまで私が名刺交換などさせていただくなどして、ご縁のある方々に発信させていただくことと致しました。
 現在国会で繰り広げられている医療関係を中心とした議論などをタイムリーに、さらには私の6年間の政治活動を振りかえりながら、思うこと、感じることをつらつらと書き綴ったものをお伝えする予定です。
 尚、送信不要の場合は、不要の旨をご記載いただき、お手数ですが本信にご返信下さい。
是非これを機会にご意見、ご感想をお気軽にご連絡下さい。何卒よろしくお願い致します。
(ご不要の際・ご意見等の宛先)
mail@takashi-hanyuda.com

◆◇================◇◆
 すべての人にやさしい医療・介護を
◆◇================◇◆