2019年4月19日
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羽生田たかしWEB通信3号
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先日は、日本の紙幣デザインを一新すると麻生財務大臣から発表がありました。
新1万円札には日本資本主義の父と称される渋沢栄一氏、5千円札には女子教育の先駆者、津田梅子女氏が肖像画に採用され、中でも国民が日常生活で一番使用する頻度の高い千円札の肖像画には、「近代日本医学の父」北里柴三郎氏に決まりました。
日本医師会の初代会長である北里柴三郎氏は、日本の細菌学の父としても知られ、ペスト菌の発見や、破傷風の治療法を開発するなど感染症医学の発展に多大な功績を残されたことであまりにも有名な人物です。
現在の千円札の野口英世氏に続き2代連続で医師が紙幣の肖像となったことは、我々医療従事者にとって大変喜ばしい知らせであり、誇らしく感じると同時に医療の社会に対する責任の重大さと、国民との信頼関係の大切さを改めて痛感した次第です。
さて本題、これまでは「医師の働き方改革」についての事を書かせていただきましたが、今回はかねてより私が問題視している「医療費亡国論」についてふれさせていただきます。
現在、私は、党職として厚生労働部会長代理、医師の働き方改革プロジェクトチーム座長を務めさせて頂いており、自民党の厚労政策へ懸命に取り組んでおります。
皆さんは日常の中で「医療費」というと、それは消費と投資のどちらであると考えますか。
この議論のきっかけは、昭和58年3月の社会保険旬報という広報物に「医療費亡国論」という論文を、時の厚生省保険局長(後の事務次官)吉村仁氏が発表したことに始まります。
その内容というのが「医療費が伸び続け国を滅ぼす」といったもので、この頃から医療は「消費」であり財政論によってのみ医療費を評価するような風潮が漂い始めたと感じています。
本来社会保障というのは、国民が国家を信じて、安心・安全に暮らす為の生活基盤であるはずです。その最たる制度として、世界には類を見ない日本の国民皆保険があり、現在に至っても日本以外はなしえていないシステムであります。
すべての国民が何らかの医療保険に加入しケガや病気の際に「いつでも、どこでも、誰でも」医療給付が受けられる、すべての国民が平等に医療を受けられる機会を得る、まさに日本人の助け合いの心と文化による相互扶助の精神に基づき創設された素晴らしいシステムであります。
しかしながら、財政論やそれによる削減ありきのミスリードが、医療を「消費」と決めつけ、財政を圧迫する一因と捉え、少なければ少ないほど良い、といった偏った政策を押し通す短絡的且つ危険な考え方を蔓延させる要因となっているのです。
ましてや「医療」に多くかかる人は国の財政を圧迫し、「医療」にかからない人が負担をして損をしている、だからその補完が必要といったインセンティブありきの政策誘導などもってのほかであります。「医療・介護」は安心して暮らしていく為のセーフティーネットであるべきです。
そればかりか、現在では、研究や医療技術の進歩、革新的な新薬や新しい医療機器の開発によって、治らなかった病気が治り、入院期間は格段に短くなりました。そしてそれにより社会復帰が早くなり、通院しながらの治療という選択肢も広がってきております。
これは、医療の進歩による大きな恩恵で有り、あえて医療を経済的な視点でとらえるのであれば、高い経済効果を生んでいることになります。
更に、医療は多くの雇用を生みだしています。医療関係職種の広がりによって300万人を超える医療従事者が各地域において活躍し、特に地方においては雇用率も高く、人材の地元定着率にも寄与している要因となっています。
これはまさに「医療費興国論」であります。国民が元気になることは国が元気になることと直結するのです。
今回は「過不足のない医療・介護」がきちんと受けられる社会づくり、そして提供体制の整備は重要な国興しであるということを皆さんにお伝えしたいと思い発信させて頂きました。
これからもしっかり社会保障政策に取り組んで、必要なものは必要であると主張し、財政再建の糸と医療による国興しの糸、そして国民の安心・安全な暮らしの糸とが「美しい調和」を織りなす社会を目指し全力を注いで参ります。
参議院財政金融委員会 理事
自民党厚生労働部会 部会長代理
医師の働き方プロジェクトチーム 座長
参議院議員
羽生田 たかし
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すべての人にやさしい医療・介護を
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