2021年4月12日
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羽生田たかしWEB通信43号
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【新医師誕生と卒後臨床研修】
平素より私の政治活動に格別のご理解とご協力を賜り誠にありがとうございます。
今年も3月15日に、第115回医師国家試験合格者の発表がありました。結果は、受験総数9,910人、合格者数9,058人、合格率91.4%でした。合格者数は平成30年から4年間9,000人を越えておりますが、日本全体としての医師数は十分な状態には至っていませんし、地域格差・診療科の隔たりの解消には程遠いものがあります。
令和2年度から卒後臨床研修のカリキュラムが改正され、必須科目が3科目から7科目に戻りました。本来卒後臨床研修制度は、多くの診療科を経験し全人的に患者を診られる医師を育てようとする目的で作られました。ところが専門医制度改変の影響でカリキュラムが変更になり、本来の目的から大きく外れることになってしまいました。現在の高齢化社会において全人的に患者を診ることがとても大切であることは皆の一致した考え方です。特に今の地域医療やコロナ禍での医療を考えたときに大変重要なことです。
私の個人的な卒後臨床研修制度の提案は、米国のように救急センターでの研修です。救急センターではあらゆる年代のあらゆる疾患の患者が来院します。卒後このようなところでの研修は全診療科に対応できる医師を育てることになり、いわゆる真の「総合医」が誕生します。ただ残念なことに今の日本の医療体制では一万人近くの卒業生の卒後研修ができる施設・指導医はおりません。
我が国は高齢社会を迎えており、それによる社会の変化が、医学や医療そのものを、疾病の診断と治療という単純な図式ではなく、社会的など多角的視点から捉える必要にせまられています。地域包括ケアシステムの要は、まぎれもなく医師であり、もし救急センターで研修していれば全診療科に対応でき、尚且つ包括的に地域医療を理解した「総合医」が先導的な役割を果たせると確信しております。
また医療の資源・財源は有限であります。しかし、医療技術の進歩の結果としての医療コストの高騰は、医療の必要とする高齢者の増加とあいまって、医療費の増大をもたらしており、今後は医療資源を有効かつ大切にするという共有する意識が、医療提供側にも受療者にも求められています。全診療科を適正に行う「総合医」が「専門医」と円滑な連携が図れることにより、合理的に医療を行うことができ、また医療費にも良い効果をもたらすと考えております。
持続可能性のある力強い日本の医療の先導役として「総合医」の必要性について、今後の課題として皆様もご一緒にお考え頂ければ幸いです。
参議院議員
羽生田 俊
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すべての人にやさしい医療・介護を
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